やさぐれ漫画描き、広枝出海のブログです。 創作同人情報、美術展やら映画感想など 獺祭状態でつらつら書きたいな~、と。 カワウソは取った魚を祭るように陳列するそうですが、散らかしているだけとは言ってはいけないお約束(^_^;) 無断転載はどうぞご遠慮下さいませ<(_ _)>
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映画『ミケランジェロの暗号』
映画『ミケランジジェロの暗号』(ヴォルフガング・ムルンベルガー監督、2010年オーストリア制作)をDVDで見ました。
この映画、物語の主題がSS制服だというので、映画公開時からすっごく気にはなっていたものの、ミニシアターまで行きたしと思えどもミニシアターはあまりに遠し…(T_T)やっと待ち望んだDVD!そういえばオーストリア映画というのも初観賞。
物語の始まりは1938年、ナチスドイツ併合前夜のオートリア。
世間はまだナチの真の恐怖を知らず、裕福な画商の息子でユダヤ人のヴィクトル(モーリッツ・ブライプトロイ)も、日々強まるユダヤ人蔑視を苦々しく思いつつも、まだ状況を楽観視していた。そんなある日、使用人の息子だが幼馴染みで親友のルドルフ(ゲオルク・フリードリヒ)が数年ぶりに帰郷する。再会を素直に感激するヴィクトル。
同じころ、父の画商カウフマンは、ミケランジェロの幻の素描「角の生えたモーセ」を秘かに入手したのではないかと絵画好きの間で話題になっていた。かの絵は、400年前にバチカンから盗み出されて以降行方不明という、いわくつきの絵。カウフマンは所有を否定する。だがヴィクトルは、父が極秘にしていた存在を、懇願に負けてルドルフに見せてしまう。
「親友だから」
しかしその信頼はいともあっさり裏切られてしまう。ルドルフは素描を渇望するナチに、親衛隊伍長の地位と引き換えに「親友」を売ってしまう。ヴィクトルには親友でも、ルドルフは「所詮雇用主のぼんぼん」と複雑な感情を抱き続けていたのだ。ルドルフはスイスへの旅行(亡命)許可証との引き換えという、「温情」交換条件で絵を奪ったつもりだったが、ナチスはこれ幸いと一家を収容所へ移送してしまう。
時は過ぎて1943年。ナチスドイツはムッソリーニをドイツに招待、同盟の記念としてミケランジェロを贈ろうとしていた。だが事前調整会議のただ中、素描が贋作だと発覚する。ヴィクトルにも教えずに秘かに父がすり替えていたのだ。
「ミケランジェロが無いならこの話も無かったことになる」
限られた時間内に本物を入手せねばならない。是が非でも!功労者が一転、首の皮一枚となったルドルフ(素描入手で今は大尉)と上司は血眼になる。
「父親は収容所で死んだが、息子は生きている。奴なら絶対絵の在り処を知っているはず」
数年ぶりに二人は再会する。SS大尉とボロ服の収容所の奴隷…。二人の立場は逆転していた。贋作の存在も、まして本物の所在など知るよしもないヴィクトル。だが、まだ生きている母を救うため賭けに出る。「本物はスイスにある。自分と母が出向いてサインしなければ銀行は鍵を開けない」渋々ナチは、ヴィクトルとルドルフを飛行機でスイスに向かわせる。
だが途中、パルチザンの銃撃に会い飛行機は墜落。奇蹟的に助かった二人だったがそこはパルチザンの巣。見つかれば親衛隊は即銃殺される。足を負傷し身動きが取れないルドルフを救うため、ヴィクトルは服を交換してルドルフを守ろうとした。しかし、隠れ家になだれ込んできたのは二人を救出するために派遣された親衛隊だった。「御無事ですか、大尉殿!」彼らが声を掛けたのは、親衛隊の制服を着たヴィクトルの方で……。
…実は見始めてからすぐがっかりしたのです。制服がテーマと期待してたのに…
……あかん、どうしよう……主人公の顔が全く好みぢゃない…… (´TωT`;)…好きな人ごめんなさい…。
そんなしょんぼり気分のせいか、途中までの展開は正直なんか地味です。
がっ!ユダヤ人とSS将校、立場が反転してから俄然物語は面白くなります。本物のユダヤ人の見分け方や、身分を隠し、あるいは身分を明かそうとする必死さは、スリリングでありながらコントすれすれ。この妙なおかしさは一体?『アンダーグラウンド』の笑いの感覚に近いものを感じます。話は二転三転。身分がばれても立場は逆転し、二人はどうなるのか、ヴィクトルのお母さんは無事逃げ切れるのか、そして絵はどこに…。
ぶっちゃけ絵の在り処は中盤ですぐ分かっちゃいますが(あれは普通気付くよね…?^_^;)それでも物語の魅力なのか、最後まで一気に見ちゃえます。オチは物足りない気もしますが、当時の実態は案外そんなものだったのかもしれません(情状酌量事由があってもSS将校なら何らかの処罰は免れないんじゃないの??って思ったんですが)勧善懲悪が好きなわけじゃないけど、ルドルフ君、少しは反省してほしい…。
ミステリーとしても面白いですが、メインは人間心理の映画だと思います。親友同士の権力による立場逆転は『善き人』の逆バージョンでもあるかと。
見事なまでに美形が出ない映画ですが(あ、でもパパカウフマンは見方によっては腹黒い役なのに、かわいいおっちゃんで良かった!)ミケランジェロを引き立てるための演出なんだと深読みすることにします(笑)
ナチSSモノが好きな人にはオススメ!です。まあ、タイトルは某作品に乗っかり過ぎな気もしますけど (-_-;)
で、映画とは別に気になったのが、物語の鍵『角の生えたモーセ』。
作中でもお母さんが「不吉」だと言ってますが、なぜ角が生えてるの?ユダヤ人への差別表現?と思ってちょっと調べてみたら、
「ミケランジェロが手にした当時の聖書が、ヘブライ語の「光」を誤訳して「角」にしちゃった」
え~~~~~~。
そしてややこしいことに、昔はキリスト教圏でも角を力の象徴と捉え、必ずしも悪魔的イメージではなかった…とか。日本でも角大師とか、そんな感じ?キリスト教で角と言ったらイコール悪魔だと思ってたのでちょっと意外でした。もののイメージは万国共通ってことでしょうか。
この映画、物語の主題がSS制服だというので、映画公開時からすっごく気にはなっていたものの、ミニシアターまで行きたしと思えどもミニシアターはあまりに遠し…(T_T)やっと待ち望んだDVD!そういえばオーストリア映画というのも初観賞。
物語の始まりは1938年、ナチスドイツ併合前夜のオートリア。
世間はまだナチの真の恐怖を知らず、裕福な画商の息子でユダヤ人のヴィクトル(モーリッツ・ブライプトロイ)も、日々強まるユダヤ人蔑視を苦々しく思いつつも、まだ状況を楽観視していた。そんなある日、使用人の息子だが幼馴染みで親友のルドルフ(ゲオルク・フリードリヒ)が数年ぶりに帰郷する。再会を素直に感激するヴィクトル。
同じころ、父の画商カウフマンは、ミケランジェロの幻の素描「角の生えたモーセ」を秘かに入手したのではないかと絵画好きの間で話題になっていた。かの絵は、400年前にバチカンから盗み出されて以降行方不明という、いわくつきの絵。カウフマンは所有を否定する。だがヴィクトルは、父が極秘にしていた存在を、懇願に負けてルドルフに見せてしまう。
「親友だから」
しかしその信頼はいともあっさり裏切られてしまう。ルドルフは素描を渇望するナチに、親衛隊伍長の地位と引き換えに「親友」を売ってしまう。ヴィクトルには親友でも、ルドルフは「所詮雇用主のぼんぼん」と複雑な感情を抱き続けていたのだ。ルドルフはスイスへの旅行(亡命)許可証との引き換えという、「温情」交換条件で絵を奪ったつもりだったが、ナチスはこれ幸いと一家を収容所へ移送してしまう。
時は過ぎて1943年。ナチスドイツはムッソリーニをドイツに招待、同盟の記念としてミケランジェロを贈ろうとしていた。だが事前調整会議のただ中、素描が贋作だと発覚する。ヴィクトルにも教えずに秘かに父がすり替えていたのだ。
「ミケランジェロが無いならこの話も無かったことになる」
限られた時間内に本物を入手せねばならない。是が非でも!功労者が一転、首の皮一枚となったルドルフ(素描入手で今は大尉)と上司は血眼になる。
「父親は収容所で死んだが、息子は生きている。奴なら絶対絵の在り処を知っているはず」
数年ぶりに二人は再会する。SS大尉とボロ服の収容所の奴隷…。二人の立場は逆転していた。贋作の存在も、まして本物の所在など知るよしもないヴィクトル。だが、まだ生きている母を救うため賭けに出る。「本物はスイスにある。自分と母が出向いてサインしなければ銀行は鍵を開けない」渋々ナチは、ヴィクトルとルドルフを飛行機でスイスに向かわせる。
だが途中、パルチザンの銃撃に会い飛行機は墜落。奇蹟的に助かった二人だったがそこはパルチザンの巣。見つかれば親衛隊は即銃殺される。足を負傷し身動きが取れないルドルフを救うため、ヴィクトルは服を交換してルドルフを守ろうとした。しかし、隠れ家になだれ込んできたのは二人を救出するために派遣された親衛隊だった。「御無事ですか、大尉殿!」彼らが声を掛けたのは、親衛隊の制服を着たヴィクトルの方で……。
…実は見始めてからすぐがっかりしたのです。制服がテーマと期待してたのに…
……あかん、どうしよう……主人公の顔が全く好みぢゃない…… (´TωT`;)…好きな人ごめんなさい…。
そんなしょんぼり気分のせいか、途中までの展開は正直なんか地味です。
がっ!ユダヤ人とSS将校、立場が反転してから俄然物語は面白くなります。本物のユダヤ人の見分け方や、身分を隠し、あるいは身分を明かそうとする必死さは、スリリングでありながらコントすれすれ。この妙なおかしさは一体?『アンダーグラウンド』の笑いの感覚に近いものを感じます。話は二転三転。身分がばれても立場は逆転し、二人はどうなるのか、ヴィクトルのお母さんは無事逃げ切れるのか、そして絵はどこに…。
ぶっちゃけ絵の在り処は中盤ですぐ分かっちゃいますが(あれは普通気付くよね…?^_^;)それでも物語の魅力なのか、最後まで一気に見ちゃえます。オチは物足りない気もしますが、当時の実態は案外そんなものだったのかもしれません(情状酌量事由があってもSS将校なら何らかの処罰は免れないんじゃないの??って思ったんですが)勧善懲悪が好きなわけじゃないけど、ルドルフ君、少しは反省してほしい…。
ミステリーとしても面白いですが、メインは人間心理の映画だと思います。親友同士の権力による立場逆転は『善き人』の逆バージョンでもあるかと。
見事なまでに美形が出ない映画ですが(あ、でもパパカウフマンは見方によっては腹黒い役なのに、かわいいおっちゃんで良かった!)ミケランジェロを引き立てるための演出なんだと深読みすることにします(笑)
ナチSSモノが好きな人にはオススメ!です。まあ、タイトルは某作品に乗っかり過ぎな気もしますけど (-_-;)
で、映画とは別に気になったのが、物語の鍵『角の生えたモーセ』。
作中でもお母さんが「不吉」だと言ってますが、なぜ角が生えてるの?ユダヤ人への差別表現?と思ってちょっと調べてみたら、
「ミケランジェロが手にした当時の聖書が、ヘブライ語の「光」を誤訳して「角」にしちゃった」
え~~~~~~。
そしてややこしいことに、昔はキリスト教圏でも角を力の象徴と捉え、必ずしも悪魔的イメージではなかった…とか。日本でも角大師とか、そんな感じ?キリスト教で角と言ったらイコール悪魔だと思ってたのでちょっと意外でした。もののイメージは万国共通ってことでしょうか。
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