やさぐれ漫画描き、広枝出海のブログです。 創作同人情報、美術展やら映画感想など 獺祭状態でつらつら書きたいな~、と。 カワウソは取った魚を祭るように陳列するそうですが、散らかしているだけとは言ってはいけないお約束(^_^;) 無断転載はどうぞご遠慮下さいませ<(_ _)>
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新聞広告で初めて知った作家さんです。
現代作家(ていうか生きてる人(^_^;))の展覧会って滅多にいかないんですが、古い写真のようなモノクロ画の女の子の絵に魅かれて行ってみました。
現代スペイン絵画界の巨匠…だそうで。
ほうほう、スペインといえばダリとかベラスケスとか!リアル系の絵の伝統はさもありなん!と想像して行ったものの、実際の印象はちょっと違ってて意外
でした( ゚ω゚)
私のイチオシは、宣伝にも使われてるロペスさんの娘さんを描いた『マリアの肖像』。
写真と見まごうばかりの写実描写ながら、まっすぐこちらを見つめる大きな瞳が物語性を感じさせて、いつまでも見ていたくなるような作品です。
広告で見たとき(このセピア調、画材何だろー?)とすごく気になってたんです。
おおお!これって鉛筆なのかー!!
そんな気もしなくはなかったけど……このサイズを鉛筆で…ひぃぃ(((((((ι゚ω゚;)!
何やら下地塗りはされてるようにも見えるんですが、説明は「板に張った紙」としかないのでなんとも。
そこが知りたいのにぃぃ!
背景のセピアっぽい色はわざとなのか汚れなのか、とか、修正跡も残ってたりどこまでが作為なのか神様の加筆wなのか。うう、気になる。
この汚れ感が実に良い味になってると思うんですが、計算だったらすごいな~。(この作品は違うようですが、ロペスさんは一枚の絵に何年もかけて加筆することが多いとか。神様の加筆も才能に含まれるってことなんだろか…)
そしてスペインの街角を切り取った『グラン・ビア』。
色調抑えめなところが何ともいい雰囲気。
またこの絵は遠くからみてもライティングに細かな注意が払われていて、遠くからみても味わいがあります。この絵だけ後ろを濃い色のボードにしてあるせいもあるのかな?
近くでガン見した後、対面の絵の辺りまで下がって観賞することをオススメします(〃゚ω゚〃)
b
窓越しに外を眺めてるような気分になれますよー。
スペイン絵画ってもっと色味が生生しいイメージがあったんですが(南欧州だから…かな?)ロペスさんの絵は全体的にくすんだ色調です。
くすんだ絵っていうと私はハンマースホイを思い出すんですが、それとも違う。
空気が乾燥してます。
ほこりっぽい…っていうのとも少し違う気がするけど、やっぱり南欧ゆえなんでしょうか。年季(笑)の入った室内も、空を大きく描いた街も、とにかくなんだか乾燥してます。
空気感。これがこの人の魅力なのかも。
そういえば同じくスペインの『ブラックブレッド』という映画も、家の汚い壁がやたら印象的でしたが(貧民の話とはいえ汚れ感が半端無かった…(^_^;)ちなみに映画自体は「貧乏人はひねくれるしかないんだ」みたいな救いのカケラもないお話でした…)
湿気がないと汚れもあまり気にしなくてもダイジョブになるんでしょうかΣ( ゚ω゚;)
会場ではロペスさん本人のインタビューショートフィルムも上映されてます。
対象を直に見ながらでないと描けないというロペスさんは、街中でも構わず絵筆をとります。けど、所詮簡易イーゼルなので筆を置くたびにけっこうガタガタしてます(笑)気にならないんだ~、と変なところで感心。
本当は細かい作画技法が知りたかったんですが(せっかく御存命の作家さんなんだし)、具体的なことには一切触れてません。この人、彫刻やったり絵にも三次元的なチャレンジをしてみたり、技法に関しては色々試していそうなんだけどな。企業秘密でしょうか。
うう~残念 (・´ω`・)
寡作な作家さんなので点数はあまり多くありませんが、時間かかってるだけに一点一点は濃密でした!