やさぐれ漫画描き、広枝出海のブログです。 創作同人情報、美術展やら映画感想など 獺祭状態でつらつら書きたいな~、と。 カワウソは取った魚を祭るように陳列するそうですが、散らかしているだけとは言ってはいけないお約束(^_^;) 無断転載はどうぞご遠慮下さいませ<(_ _)>
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映画『ヒトラーの贋札』を見ました。
『ヒトラーの贋札』(ステファン・ルツォヴィッキー監督、2006年 ドイツ・オーストリア合作)を見ました。
これも邦題に「とりあえずヒトラーって入れちゃえ」なパターンですね。原題は『贋作者』。まあ確かに原題ママじゃ弱いかもですが、この「とりあえずヒトラー」系ってどうにかなんないのかなぁ… (´-ω-`)
アカデミー外国語賞を取った由緒正しい作品ですが(笑)当時目にした映画評が今ひとつだったためなんとなく手が出なく…でも遂に見ちゃいました。
なぜなら…そう、マイブームのアウグスト・ディールさんが出ているから!!でへ (〃>ω<〃)
1930年代後半、いかがわしい酒場を切り盛りするザロモン(カール・マルコヴィックス)はサリーという通称でユダヤ人という出自を隠しつつ、裏で画才を生かした偽造身分証作りに精を出していた。しかし運は尽き、親衛隊に逮捕され、強制収容所に送られてしまう。
だが要領のいいサリーは収容所でも画才を生かして生き延びていた。
時は経ち、大戦末期。サリーは理由も分からず別の収容所に送致される。そこに集められた囚人たちには地獄の環境から一転、清潔なベッドとまともな待遇が待っていた。
なぜ?
それは特別かつ極秘の強制労働、米英の通貨を偽造し敵国の経済を混乱させる『ベルンハルト作戦』に従事させるためだった。まず第一目標にポンド紙幣の偽造。そして最終目的はドル紙幣の偽造。
「プロ」のサリーの腕を持ってすれば出来ない仕事ではなかった。しかし偽造紙幣が出回れば戦争の終結は遠くなる。万が一にもナチスドイツが勝てばサリーたち囚人の未来はない。が、作戦が遂行出来なければ地獄の収容所か、死が待っている。
紙幣を作るのか、作らないのか。
そこに異分子がひとり。アウシュビッツに妻を残し、一人だけ移送されたというブルガー(アウグスト・ディール)は共産主義者で、ビラを印刷したために逮捕されたという経歴の持ち主。彼は「自分たちさえ助かれば他の多くの人間が死ぬことになってもいいのか」と作業を妨害する。
ブルガーのあからさまなサボタージュは仲間の囚人の命を脅かすものだ。かといってサリーには、そんなブルガーを批判する気にもなれず……。
私的メインのアウグストさんは囚人役なので、正直イケメンシーンは今回カケラもありません (´・ω・`)ちょっとはましな古着も「他の死体からはぎ取った服なんか着られない」とひとりだけボロ縞囚人服で通してます。
そして、役柄も…うざいです。このブルガーってひとは。言ってることは正義そのものなんですが、この極限下で、仲間まるごと死ぬ羽目になっても構わない!って言い切っちゃう人間て…。周囲からしたら、そりゃあこっそり始末しちゃいたくもなるでしょう。カタチは正義漢ですが、アウシュビッツで奥さんを銃殺されてしまった故の自暴自棄です。姿を変えた自殺願望にしか見えません。気持ちは分かりますが(自分は死んでも本望だろうけど、仲間の命はまた別だろうよ…)と、見てるこっちもストレスたまる感じ。
ああうざい!うざ過ぎる…!と思ってたら、このブルガーと言う人の書いた本が映画の元ネタだそうで。
主役の方じゃなかったんだ!とかなり意外でした。この「実話ベース映画」ってのも、どこまで事実なのかといっつも悩むとこですが、このお話はどこまでどうなんでしょうか…。『ベルンハルト作戦』自体は事実として、ブルガーさんはいい人ポジションなのか、私が感じた通りのうざいひとなのか…。本の方は未見なので分かりませんが、多分後者なんじゃないかと勝手に断定しちゃいます。作中でも「自分は倉庫で食糧をくすねて生き延びて…」と告白しているし、100パーセントの正義漢じゃ戦後まで生き残るのは至難の業でしょう。
何より断定したいのは、アウグスト・ディールの演技力のせい!私は『九日目』のカッコイイ将校姿ですっかりはまったわけですが、…このひと、本当に演技が上手い…!屈折した心理描写が伝わってきます。ラストの、全てが終わり状況が反転した時のアップの表情はなんとも言えません。彼の表情が映画の全てを語っているようでした。
「正義とは何だ?」と。
ブルガーはうざい人ですが、彼は彼なりにうざくならざるを得ない理由があるわけで。この人がただの正義漢ヒーローだったら、もっと単調な映画になってしまったんじゃないでしょうか。アウグストさん、今回はビジュアル面での良いところはゼロですが、表情には惹き込まれます。
ん?…ていうと『九日目』でかっこいいと思ったのも、演技力&目力に負うところが大きかったのかな~??
映画そのものは「良い映画か?」と聞かれたら「ううう~~~~んん」って感じでしょうか… ( ´・ω・`)
駄作でもなく、つまらなくもないんですが…とにかく「疲れる映画」と言いたいです。エンドロールをぼ~っと放心して見ていたくらいなので。勧善懲悪は問題外としても、救いもなく、ハッピーエンドらしいハッピーエンドもありません。人が、それぞれ必死に生き残ろうとする様だけが描かれているので、感想はただ「正義とは何ぞや?」としか言いようのない映画です。救いと言えば、主役のカール・マルコヴィックスの淡々とした虚無感漂う演技でしょうか。彼もまた善人とも悪人ともつかないために作中人物の中で公平(?)で、それがまあある意味救いというか…。ううむ。
疲れている時に見る事は激しくおススメしませんが、アウグスト・ディールの演技が出色なのでそこだけはおススメしたいです。
イラストは、お話に直接噛んでは来ませんがブルガーが共産主義者ということで赤いカンジに。
とことんアウグスト・ディールお目当てなので、映画のイメージとは違うシロモノになってます(笑)
あと本筋と直接関係はないですが、…ポンド紙幣が片面印刷だったのに愕然。
小切手かΣ(゚д゚lll)!?
ドルは両面印刷だったので、その点だけでも当時のイギリスの苦境が忍ばれます。
みんな苦しい時代だったんですね…。
これも邦題に「とりあえずヒトラーって入れちゃえ」なパターンですね。原題は『贋作者』。まあ確かに原題ママじゃ弱いかもですが、この「とりあえずヒトラー」系ってどうにかなんないのかなぁ… (´-ω-`)
アカデミー外国語賞を取った由緒正しい作品ですが(笑)当時目にした映画評が今ひとつだったためなんとなく手が出なく…でも遂に見ちゃいました。
なぜなら…そう、マイブームのアウグスト・ディールさんが出ているから!!でへ (〃>ω<〃)
1930年代後半、いかがわしい酒場を切り盛りするザロモン(カール・マルコヴィックス)はサリーという通称でユダヤ人という出自を隠しつつ、裏で画才を生かした偽造身分証作りに精を出していた。しかし運は尽き、親衛隊に逮捕され、強制収容所に送られてしまう。
だが要領のいいサリーは収容所でも画才を生かして生き延びていた。
時は経ち、大戦末期。サリーは理由も分からず別の収容所に送致される。そこに集められた囚人たちには地獄の環境から一転、清潔なベッドとまともな待遇が待っていた。
なぜ?
それは特別かつ極秘の強制労働、米英の通貨を偽造し敵国の経済を混乱させる『ベルンハルト作戦』に従事させるためだった。まず第一目標にポンド紙幣の偽造。そして最終目的はドル紙幣の偽造。
「プロ」のサリーの腕を持ってすれば出来ない仕事ではなかった。しかし偽造紙幣が出回れば戦争の終結は遠くなる。万が一にもナチスドイツが勝てばサリーたち囚人の未来はない。が、作戦が遂行出来なければ地獄の収容所か、死が待っている。
紙幣を作るのか、作らないのか。
そこに異分子がひとり。アウシュビッツに妻を残し、一人だけ移送されたというブルガー(アウグスト・ディール)は共産主義者で、ビラを印刷したために逮捕されたという経歴の持ち主。彼は「自分たちさえ助かれば他の多くの人間が死ぬことになってもいいのか」と作業を妨害する。
ブルガーのあからさまなサボタージュは仲間の囚人の命を脅かすものだ。かといってサリーには、そんなブルガーを批判する気にもなれず……。
私的メインのアウグストさんは囚人役なので、正直イケメンシーンは今回カケラもありません (´・ω・`)ちょっとはましな古着も「他の死体からはぎ取った服なんか着られない」とひとりだけボロ縞囚人服で通してます。
そして、役柄も…うざいです。このブルガーってひとは。言ってることは正義そのものなんですが、この極限下で、仲間まるごと死ぬ羽目になっても構わない!って言い切っちゃう人間て…。周囲からしたら、そりゃあこっそり始末しちゃいたくもなるでしょう。カタチは正義漢ですが、アウシュビッツで奥さんを銃殺されてしまった故の自暴自棄です。姿を変えた自殺願望にしか見えません。気持ちは分かりますが(自分は死んでも本望だろうけど、仲間の命はまた別だろうよ…)と、見てるこっちもストレスたまる感じ。
ああうざい!うざ過ぎる…!と思ってたら、このブルガーと言う人の書いた本が映画の元ネタだそうで。
主役の方じゃなかったんだ!とかなり意外でした。この「実話ベース映画」ってのも、どこまで事実なのかといっつも悩むとこですが、このお話はどこまでどうなんでしょうか…。『ベルンハルト作戦』自体は事実として、ブルガーさんはいい人ポジションなのか、私が感じた通りのうざいひとなのか…。本の方は未見なので分かりませんが、多分後者なんじゃないかと勝手に断定しちゃいます。作中でも「自分は倉庫で食糧をくすねて生き延びて…」と告白しているし、100パーセントの正義漢じゃ戦後まで生き残るのは至難の業でしょう。
何より断定したいのは、アウグスト・ディールの演技力のせい!私は『九日目』のカッコイイ将校姿ですっかりはまったわけですが、…このひと、本当に演技が上手い…!屈折した心理描写が伝わってきます。ラストの、全てが終わり状況が反転した時のアップの表情はなんとも言えません。彼の表情が映画の全てを語っているようでした。
「正義とは何だ?」と。
ブルガーはうざい人ですが、彼は彼なりにうざくならざるを得ない理由があるわけで。この人がただの正義漢ヒーローだったら、もっと単調な映画になってしまったんじゃないでしょうか。アウグストさん、今回はビジュアル面での良いところはゼロですが、表情には惹き込まれます。
ん?…ていうと『九日目』でかっこいいと思ったのも、演技力&目力に負うところが大きかったのかな~??
映画そのものは「良い映画か?」と聞かれたら「ううう~~~~んん」って感じでしょうか… ( ´・ω・`)
駄作でもなく、つまらなくもないんですが…とにかく「疲れる映画」と言いたいです。エンドロールをぼ~っと放心して見ていたくらいなので。勧善懲悪は問題外としても、救いもなく、ハッピーエンドらしいハッピーエンドもありません。人が、それぞれ必死に生き残ろうとする様だけが描かれているので、感想はただ「正義とは何ぞや?」としか言いようのない映画です。救いと言えば、主役のカール・マルコヴィックスの淡々とした虚無感漂う演技でしょうか。彼もまた善人とも悪人ともつかないために作中人物の中で公平(?)で、それがまあある意味救いというか…。ううむ。
疲れている時に見る事は激しくおススメしませんが、アウグスト・ディールの演技が出色なのでそこだけはおススメしたいです。
イラストは、お話に直接噛んでは来ませんがブルガーが共産主義者ということで赤いカンジに。
とことんアウグスト・ディールお目当てなので、映画のイメージとは違うシロモノになってます(笑)
あと本筋と直接関係はないですが、…ポンド紙幣が片面印刷だったのに愕然。
小切手かΣ(゚д゚lll)!?
ドルは両面印刷だったので、その点だけでも当時のイギリスの苦境が忍ばれます。
みんな苦しい時代だったんですね…。
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