やさぐれ漫画描き、広枝出海のブログです。 創作同人情報、美術展やら映画感想など 獺祭状態でつらつら書きたいな~、と。 カワウソは取った魚を祭るように陳列するそうですが、散らかしているだけとは言ってはいけないお約束(^_^;) 無断転載はどうぞご遠慮下さいませ<(_ _)>
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有楽町スバル座で公開のヴィゴ・モーテンセン主演『善き人』を見てきました。
物語は1930年代、ナチが台頭しつつあるドイツ。大学教授のハルダーはナチに否定的な考えにも関わらず、自分の書いた小説(不治の病に苦しむ人を殺すのは罪ではない、という不吉な展開を予想させる内容)がナチの上層部に気に入られて不本意ながらナチに取り込まれていく。認知症の母親、それを疎んじて家事を放棄し趣味のピアノに没頭する妻。それでもハルダーは文句ひとつ言わず妻の代わりに家事をこなし、堅実に黙々と教授業をこなす日々。しかし、教え子の美人学生から熱烈にアタックされだすと単調で地味だったハルダーの人生は狂いだしていく…。フツーのおじさんが美人にいきなり誘惑されたら、そりゃそうかもね~…とか、こんな家庭、リセットしたい気持ちもわかるな~とか、ハルダーが親衛隊に入るのみならずナチ党員にまでなってしまう過程の描写がリアルです。党員にさえなれば出世確実。自分の主義思想を優先して左遷を選ぶ人間は圧倒的少数派でしょう。親友のユダヤ人精神科医に対する行動も、今なら「なにノー天気なこと言ってんだよ!」と思っても、当時の制限された情報の中で暮らしていた人間の感覚だったらきっとその程度だったんだろうなあ、と納得です。あの時代に生きていたら自分もハルダーの側の人間になるかもしれません。ハルダーは後の時代では糾弾されるべき人間ですが、『彼』が大勢だったからこそ第二次世界大戦が起きてしまったのだとしんみりする展開です。小説のせいでT4作戦に関わらせられ、水晶の夜にも加担させられ、気がつけば多くのものを失っているハルダー。ここにきて初めて本気で彼は動きます。行方不明の友、ユダヤ人の友を救うために親衛隊将校の肩書を利用して危険を覚悟で彼は動きます。
そして………え。…そこ?
そこで終わっちゃうの!?
ラストは…ラストがっ。粛々と盛り上がっていただけにこの終わり方は……えええ~。
人によって色々かと思いますが、私的にはかなり意表を突かれたオチでした。「普通の人」とはいえ美味しい思いもしてきた以上、何がしかのけじめはつけて欲しかった…。これってある意味夢オチなのでは??
とはいえ黒服メガネっ子が目当てだったので、これはこれでいい映画かなと(笑)。私は白シャツ押しなのでイラストは白シャツで(黒白赤の組み合わせがたまりません)。黒服親衛隊が出る映画は意外に少ないので、制服好きな方にはおススメです。オチには不満があるものの、ヴィゴ・モーテンセンはインテリ教授な雰囲気がよく出てて、制服姿もステキでした。やっぱり軍服は肩が命ですね。
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