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やさぐれ漫画描き、広枝出海のブログです。 創作同人情報、美術展やら映画感想など 獺祭状態でつらつら書きたいな~、と。 カワウソは取った魚を祭るように陳列するそうですが、散らかしているだけとは言ってはいけないお約束(^_^;)          無断転載はどうぞご遠慮下さいませ<(_ _)>

   
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ずっと気になってはいたものの、なかなか行けずにいたホキ美術館に行ってきました。


「故郷は遠きにありて思うもの」というわけで、いや全国区単位だったら全然遠くないんだけどw
いつでも行ける所だからこそ意外になかなか行かなかったりするものですよね?ね(´ω`;)?つまり地元だけど微妙に遠い千葉、ホキ美術館にやっとこさ行って参りました。
社長さんが「写実いいじゃん。イマドキの主流じゃなくてもいいの。好きなんだもん」と集めた趣味のコレクションで作っちゃった個人美術館です。
がっ、「これが私設!?」ってゆーくらい、
いやいやいや、期待以上にすっごく良かったです(〃゚ω゚〃)!!
ハコおしゃれ!
収蔵作品すてき!&点数多い!
カフェもいい感じ! 
ミュージアムグッズも充実!
いわゆる昨今のオサレ美術館の基準を見事にクリアしちゃってます(※私調べ)

ちなみにハコはこんな感じ

          
入口。             昭和の森公園がいい感じの借景になってて
               「どこの箱根の美術館Σ( ゚ω゚)!?」 な気分に
                花粉症には恐怖の杉木立だけど…w

    
浮いてるよ…(((((((ι゚ω゚;)   浮いてる先の方。へっぽこカメラマンが若干霊を呼んでます。

 


で、肝心の収蔵作品ですが。
ブログにあげる時は感想文的なイラストを付けたりするんですが…そんな小手先でいじっては申し訳ないくらい気合い入った作品だらけで…もう…(ノω≦`)ノ。゚!
写実万歳!写実絵画が軽んじられる風潮も長くありましたが、………やっぱ写実好きだーーー!
一体どんな筆を使ってるんですかと!どのくらい時間かかってるんですかと!つきつめれば写真のようでありながら、似て非なる情感が込められるものなんですね。

メインは人物像(他の美術館よりおじさん客が目立つのは裸婦像のせい(^_^;)?)ですが、
風景画も良かったです。私のイチオシは森本草介の一連の風景画!子供の頃、あんな絵が部屋にかかってたら、一日中風景の中にいる妄想で遊んでたろうな~。小さな窓もきちんと描かれてて、じっと見てたらたまに誰かが顔を出しそう(笑)ハガキも買ってみましたが、この感覚は実物大じゃないと味わえないな…。是非是非実物の前で空想を広げて見て下さい♪

中世の西欧絵画(デューラーとか)の絵が描きたての頃の質感ってこんな感じだったのかな~、と全体を通して強く感じました。ひび割れもなく、ニスの黄変もない状態の精密な絵。それは修復技術が進んでも完全には再現しきれないものじゃないかと思います。現代なんだけど、タイムスリップしたような不思議な感覚でもありました。


レストランもカフェもさりげなく千葉感をアピールしてて、プチ観光気分も味わえるかと。ゆでピーナッツ出してるミュージアムカフェなんて、全国でもここだけではないでしょーか(笑 や、ちゃんとオシャレになってましたけど!)
醤油売ってるミュージアムショップもここだけだと思いますが(そういえば漬物売ってるとこもあったけど…)遠方から来るお客さんには千葉みやげは重要です。カフェで出してた甘露煮みたいなピーナツも売ってて欲しかった…。醤油置くならぬれせんも…!あっ、梨も…(_ω_)!



千葉民の私ですらビミョーにおっくうな場所だと思うので、そら東京からだったらさぞ遠かろう…と思うのですが、バスツアーも組まれているらしく盛況でした。でも団体ツアーはざっと回るだけなのかな?さーっと消えて行ってしまったので、がっつり堪能したい方は面倒でも単独で来館された方がいいかと。じっくり見たい絵&個人美術館らしからぬ予想以上の点数なので、ここで一日優雅に過ごせておススメですよー♪

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渋谷Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されている(2013.4.27~6.16)『アントニオ・ロペス』展に行ってきました。



なぜ私が模写すると黒くなるんだ…(・ω・。`)


新聞広告で初めて知った作家さんです。
現代作家(ていうか生きてる人
(^_^;))の展覧会って滅多にいかないんですが、古い写真のようなモノクロ画の女の子の絵に魅かれて行ってみました。

現代スペイン絵画界の巨匠…だそうで。
ほうほう、スペインといえばダリとかベラスケスとか!リアル系の絵の伝統はさもありなん!と想像して行ったものの、実際の印象はちょっと違ってて意外 でした( ゚ω゚)


私のイチオシは、宣伝にも使われてるロペスさんの娘さんを描いた『マリアの肖像』。

写真と見まごうばかりの写実描写ながら、まっすぐこちらを見つめる大きな瞳が物語性を感じさせて、いつまでも見ていたくなるような作品です。
広告で見たとき(このセピア調、画材何だろー?)とすごく気になってたんです。

おおお!これって鉛筆なのかー!!

そんな気もしなくはなかったけど……このサイズを鉛筆で…ひぃぃ
(((((((ι゚ω゚;)
何やら下地塗りはされてるようにも見えるんですが、説明は「板に張った紙」としかないのでなんとも。
そこが知りたいのにぃぃ!
背景のセピアっぽい色はわざとなのか汚れなのか、とか、修正跡も残ってたりどこまでが作為なのか神様の加筆wなのか。うう、気になる。
この汚れ感が実に良い味になってると思うんですが、計算だったらすごいな~。(この作品は違うようですが、ロペスさんは一枚の絵に何年もかけて加筆することが多いとか。神様の加筆も才能に含まれるってことなんだろか…)

 

そしてスペインの街角を切り取った『グラン・ビア』。

色調抑えめなところが何ともいい雰囲気。
またこの絵は遠くからみてもライティングに細かな注意が払われていて、遠くからみても味わいがあります。この絵だけ後ろを濃い色のボードにしてあるせいもあるのかな?
近くでガン見した後、対面の絵の辺りまで下がって観賞することをオススメします(〃゚ω゚〃)
b
窓越しに外を眺めてるような気分になれますよー。

 

スペイン絵画ってもっと色味が生生しいイメージがあったんですが(南欧州だから…かな?)ロペスさんの絵は全体的にくすんだ色調です。
くすんだ絵っていうと私はハンマースホイを思い出すんですが、それとも違う。
空気が乾燥してます。
ほこりっぽい…っていうのとも少し違う気がするけど、やっぱり南欧ゆえなんでしょうか。年季(笑)の入った室内も、空を大きく描いた街も、とにかくなんだか乾燥してます。
空気感。これがこの人の魅力なのかも。

そういえば同じくスペインの『ブラックブレッド』という映画も、家の汚い壁がやたら印象的でしたが(貧民の話とはいえ汚れ感が半端無かった…(^_^;)ちなみに映画自体は「貧乏人はひねくれるしかないんだ」みたいな救いのカケラもないお話でした…)
湿気がないと汚れもあまり気にしなくてもダイジョブになるんでしょうかΣ( ゚ω゚;)

 

会場ではロペスさん本人のインタビューショートフィルムも上映されてます。
対象を直に見ながらでないと描けないというロペスさんは、街中でも構わず絵筆をとります。けど、所詮簡易イーゼルなので筆を置くたびにけっこうガタガタしてます()気にならないんだ~、と変なところで感心。
本当は細かい作画技法が知りたかったんですが(せっかく御存命の作家さんなんだし)、具体的なことには一切触れてません。この人、彫刻やったり絵にも三次元的なチャレンジをしてみたり、技法に関しては色々試していそうなんだけどな。企業秘密でしょうか。
うう~残念 (・´ω`・)

寡作な作家さんなので点数はあまり多くありませんが、時間かかってるだけに一点一点は濃密でした!

 


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東京都写真美術館で開催されている(2013.3.5~5.6)、
『アーウィン・ブルーメンフェルド(エルヴィン・ブルーメンフェルト)~美の秘密~』展に行ってきました。


 
写真て全然分かんないのですが、この人の写真は印象深くて別格でした。

知ったきっかけは、日経新聞の平成21年10月19日付朝刊に出ていた
『リュシアン・ルロンのドレスを着たエッフェル塔の上のリザ・フォンサグリーヴ』
エッフェル塔の上で命綱もなしに、危うい足場から風を受けてドレスをひらめかせる…。
何かに逆らうかのように。何かから解き放たれるように…。
すごく衝撃的でした。だってこれ、1939年の撮影なんですよ?
ドイツ系ユダヤ人の写真家が、ナチスドイツのパリ侵攻の直前にこんな写真を撮っている。芸術家の予知能力のようなものを感じました。すごい…!!

なんで掲載紙の年月日まで覚えてるかっていうと、切り抜きをずっと飾ってたからw(´ω`;)
いい加減、切り抜きも黄ばみかけてきたところの今回の展覧会ですよ!他の作品は一切知らないものの、この作品の磁力に勝てず見に行きました!ついでにポスターもあったら欲しい!

初の回顧展だそうで、私みたいな知識ゼロの人間にもとっつきやすい構成でした。
ブルーメンフェルトさんはドイツに生まれたものの、ユダヤ人迫害の嵐から逃れてオランダ、フランス、アメリカと移り住んでた人なんですね。尖鋭的な芸術写真家の顔と、ファッション誌写真家の顔も持ってた人だとは。私の好きなこの『リュシアン・ルロンの~』もヴォーグに掲載された作品です(ちなみにモデルは奥さんだそうで。だからこんな曲芸まがいのショットもOKしちゃったのかな(^_^;)?)

いわゆる現代美術な感じの一連のモノクロ写真も良かったですが、初心者にはやっぱりファッション写真の方が馴染みがいいです(笑)今見ても構図とか洗練されててオシャレだな~。
で、今更ながらの発見だったのが「戦時中もアメリカはヴォーグを出していた」こと(((((((ι゚ω゚;)戦況の深刻化とともに戦争色も滲んではきますが、あくまでオシャレです。カラーです!大日本帝国大和撫子が、もんぺに竹槍で頑張ってた時期にこれですよ?そりゃあ負けるよね…ぅぅ(。-ω-)

今のファッション写真の加工しまくりな流れから見ると、毛穴とか小じわとか鮮明なのも新鮮でした(笑)当時はフツーだったのか、ブルーメンフェルトさんの主義なのかは分かりませんが。こういった写真を見ると…やっぱ修正しすぎはいかんですよ( ´ω`)

彼は反ナチの姿勢を隠さない反骨の人でもあったようで、ナチの内閣承認の年には髑髏なヒトラーの写真なんかも発表してます。後にアメリカに大いに活用されたそうですが。こんな作品発表して死なずにすんだとは。このひと、運が良かったんだろうなあ。

…とまあ、それぞれ見応えはあったんですが。
…………あれ?
………………お目当ての作品が…………ない。
えええええええ~~~~~~っΣ( ゚ω゚) !?

似た構図の作品はあるんだけど、いやそれじゃなくてですね。
あっちの!ドレスひらひらって方はどこですかー!
しまった…っ。回顧展だっていうから絶対あると信じきってた…っ!回顧展なら外せない代表作だと思うんですが!オトナの事情ですか!?
カタログの年表(?)には小さく入ってただけに、がっかり感が半端ない………。
更になぜか会場にはないその作品の絵ハガキが、下のミュージアムショップにはあるという…(でもこれ多分、通常売ってるやつだよね)涙目で絵ハガキ買いました…。
私的今回の収穫は、切り抜きが絵ハガキに出世したことです(笑)

そして恒例の「欲しい絵ハガキは絶対売ってない」ジンクスは、ナタリア・パスコってモデルの女の子がレンブラント風に写ってるモノクロ作品。キリッとした眼差しが良い感じだったのにな…残念。まあ今回は欲しい絵ハガキが手に入ったので、ジンクスじゃないかもですが(でもなんか違う…)


ほんとは作品を紹介したいんですが、オトナの事情があるっぽいのでヘタレ絵(構図パクリ。マグリットにダリ9:1な感じ(^_^;))で。
ほんとにいい写真ですので、気になる方は是非探して見て下さい♡

出した自叙伝はドイツ語だったそうです。なので名前はドイツ語表記にしてみました。あちこち移住しても、結局彼の根っこはドイツにあるんだろうな、と思ったので。



そんで。

同じく東京都写真美術館で開催の『マリオ・ジャコメッリ写真展』(2013.3.23~5.12)
チラシに魅かれました♡もう開催されてるっぽいですが、これも気になる…。
アオリがまた何ともステキ「白、それは虚無。黒、それは傷痕(きずあと)。」…って。
なんかHURTSっぽいぞ!←(現在完全にやられております(^_^;))

神父の服ってどうもホラーに見えて、色々ダークな想像をかき立てられてしまうんですが(^_^;)私だけ?(きっとエクソシストとか!ザ・ライトとか!あの辺の映画のせいだっ!)
機会があれば見に行きたいデス。








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マンチャスター大学ウィットワース美術館所蔵『巨匠たちの英国水彩画展』(2012年10月20日~12月9日まで bunkamuraザ・ミュージアム)に行ってきました。



まず申し上げたい感想は
「水彩だってここまでできる!!!」ということであります!(怒り新党風に(^_^;))
いやもう、素っっっ晴らしかったです!!


私は水彩って難易度高いよぅ…と、ヘタれてもうずっとアクリル描きなんですが(ブログのイラストもオールアクリル)、何とかとハサミは使いよう…ややや、要は素材が何だろうと腕があれば何でもできちゃうんだな…!と、目からウロコがだだ漏れ状態の展覧会でした。

水彩だと奥行き感に限りがあるかと思ってましたが、そんなこともなく重厚な建造物は重厚に、影はどこまでも深く明快です。また、どうしても大きい作品は無理だろうとも思ってたんですが、そんなイメージなんか払底してやるぜぃ!的な大作も出品されています。一見油彩と見まごう雰囲気ながら、一番違いを強く感じたのは、そこはかとない透明感でした。これぞ油彩には出しえない空気感、水彩の醍醐味です!
そしてどの絵にも吸い込まれそうな引力を感じました。
これってなんだろう?と考えること数分。
はっ!もしや作家の集中力、気合いのオーラ(((((((ι゚ω゚;)!?
もちろん他の技法、立体作品だって気合いは入ってるはずですが、いかんせん水彩は失敗ができません。ぼ~っとしたその一瞬が致命傷になりかねないんです。そう、だから水彩は難ちいのです… ハイ(・ω・。`)そんな面倒な素材を扱う緊張感が作品の力になってるんじゃないのかな~、と惚れ惚れしちゃいました。

どの作品もそれぞれ良かったんですが、私的には建造物を描いた一連の作品と、やっぱりターナーに釘付けでした。ターナーの水彩は初めて見ましたが、大気を感じさせるほわっとした色味がほんっとーーーに綺麗!また『海辺の落日とホウボウ』は海に沈む太陽を遠景に、手前にどん!と魚を配している構図ですが、これがなんともシュールレアリスムちっくで好きです (〃゚ω゚〃)作家本人にそういった意図はなかったかもしれませんが、ダリの先輩か!?って感じです。

それで感動のあまり、超久々に図録買っちゃいました。
図録買うのなんて何年ぶりだろ…。欲しいな~、と思っても買いだすとキリない&マイウサギ小屋崩壊の危機なので、極力手を出さないようにしてるんですが…買っちゃった…。でもこの図録、内容もさることながら、装丁も厚紙表紙にタイトル文字は銀箔押し、しかも風景画の場所案内イギリス地図まで付録添付されてる豪華本!地図はセピア調B3サイズで、これだけポスターがわりに飾ってもオシャレじゃないかと。もったいないので私はしまっときますけどね (^_^;)これで2300円(たしか)はすっごいお買い得ですよね?ね♡?

ミュージアムグッズで目を引いたのは犬の刺繍入りポーチ。
シメオン・ソロモンの『画家の愉楽』のおすましした赤いリボンのわんこが、黒地のポーチにワンポイントでちょこんとしてます。図録の解説には「凛とした姿で」とありますが、…違うっ!
これは「あたしカワイイでしょ?」アピール中の図に違いないっ!
ご近所のわんこも「かわいいね~」って言うと「でしょ?でしょ (〃゚ω゚〃)!?」ってなります。あれとおんなじ!くぅっ、かわいいぢゃないかぁぁっ!
…というわけですごく欲しかったんですが、ちょっとお高くない?と思ったら絹製でした。そ、そっか…。ポーチは普段使いでガシガシ使い倒す派としては、こんな華奢なポーチは使えないのです…。ナイロンとか、もーちょっと庶民的な感じで作ってくれればなあ、残念。でも刺繍自体もステキに上品にできていたので、丁寧に持ち歩ける人にはオススメだと思います。ちなみにカモ柄もありました。最近、こういう作品中の動物をモチーフにしたグッズを見かけるようになってきましたが、この傾向は大歓迎です!動物ネタはですね、絵に興味ない人でも食いついちゃう無敵ネタだと思うのです。そしてできれば、わんこ系多めの方向で流行ってくれると実に嬉しいんですが(あ、でもそれはそれで財布が悲鳴を上げそう… (´ω`;))

で、感動ついでにひっさびさに水彩絵の具引っ張り出してみたりして。
…がっ、チューブ絵の具はかぴかぴになってほぼミイラ…。チューブ破れば使えるけど…嗚呼。最低十年は眠りについていたと思われるので仕方ないんですが、この惨状を見て初めて固形絵の具の真理を悟りました(笑)今まで固形絵の具は使いにくいと思ってたよ…ごめんよ固形絵の具。ということでいま一人の予備役、ペリカンの固形絵の具パレットを御開帳。チューブ敗退の後に使ってみると流石ドイツ製、がっしりとした配置で使いやすいな~。

そういえばパレットで思い出しましたが、ミュージアムショップにもウインザー&ニュートンの小さな携帯用固形絵の具パレットが置いてありました。小さいながら水入れスペースもセットされたり(ここにアルコール配備もあり!?)なによりアールデコ的なデザインに漆黒っていう無駄のないフォルムが素敵でした。し…しかし、これもお値段が…っ。渋いダンディなおじさまがこんなの使って公園で写生してたら、さぞかしかっこいいんだろうな…ヾ(*≧ω≦)
なんだか小さなところにもイギリスを感じました。

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『リヒテンシュタイン~華麗なる侯爵家の秘宝~』展(2012年10月3日~12月23日まで 国立新美術館)に行ってきました。
ルーベンスの代表作が来てるわけではないので「どーなんだろうな~(商業的に(^_^;))」と思ったんですが、その辺をちゃんと工夫した、ちょっと面白い展示になってました。




絵の売りはルーベンス10点。
私はルーベンスって実を言うとあんまりシュミぢゃないんですが(なんちゅーか、ししむら!って感じのお肉の表現がですね…そのぅ、ヘモグロビン万歳!って感じでですね…。この人の絵を見るたびに関係ないのに「しぼうのカタマリ…」と呟かずにはいられない…。いや「脂肪の塊」だって、あれは褒め言葉なわけですが(^_^;))世間一般では「薔薇色の肌」と絶賛されてるわけで、あくまで個人の感想です。好きな人ごめんなさい。ともあれ、ツレの希望だったのでお伴して覗いてみました。
いわゆる有名作品、目玉作がないせいか、そんなに混雑してはいません。タダチケットばらまいた主催者側としては不本意かもですが、見る側としては快適です。なによりこの展覧会、「侯爵家の宮殿」を模した展示になってるんです。宮殿が混みこみじゃ雰囲気台無しになっちゃいますしね~( ´ω`)

目新しかったのは、天井画がちゃんと天井に飾ってあったこと!
私はこーゆー展示、初めて見たので新鮮でした。実際の感じを掴めていいな、と思ったものの…はっ!首疲れる…(ノω・ 。)往時の人たちも同じだったんでしょうか。それとも装飾の一つとしてしか見ていなかったのかなぁ。宮殿の天井の方が高いんじゃないかとも思うし…。
そして宮殿感満載な家具調度も展示されてるわけですが…あああ、あっちもこっちも金ピッカピカだああ(((((((゚ω゚;)。

今回の私的収穫は何より「リヒテンシュタインの場所を覚えたこと」だったりしました。
なんでかリヒテンシュタインはフランスのご近所さんだと思ってたんですが(ルクセンブルクと混ざってた…恥)オーストリアとスイスの狭間なんですね。神聖ローマ→ハプスブルク帝国のなかにあった、文化的にはドイツ系かなと。で、言わずもがなですが、とーーーっても小さい国です。会場にあった年表を見ても、ヘリウム入りのオツムには分かりにくい、フクザツな歴史を持った国です(国連加盟が1990年代だったことにもビックリ)。
常に大国の側にありながら、縄張りを主張し続けるにはどうすればいいか。
軍事力では到底敵わないし…、そうだ!文化力だ!…ってわけで出来たのがこのコレクションだったのではないかと強く思いました。日本のご近所さんでもありますよね、そんな国。国土はちっちゃいけど、お前んとこよりいいもん持ってるんだぜぇ!って。王権の正当性を証明するのに、どんなに美術品が強大な力を持ちうるのか。美術品が武器たり得るという…。そう考えるとアルプスの山に囲まれながら、遠く美術品を集め続けた歴代リヒテンシュタイン侯爵の意地を感じずにはいられません。コレクションは豪華絢爛ですが、なんだか切ない気持ちになりました。

戻って展示物の話。
メインはポスターにも使われているルーベンスの子供の肖像画ですが、出口付近にも子供の肖像画があります。フリードリヒ・フォン・アメリングの『マリー・フランツィスカ・リヒテンシュタイン侯女 二歳の肖像』。19世紀の絵ですが、この寝顔がとっっってもかわいいです (〃゚ω゚〃)!無名の作家とはいえ、私はこっちの絵押しです。この絵を最後に飾っているのも「平和が一番」って感じで良かったですよー。
もう一点、絵葉書欲しいな~と思ったのは、クリストファーノ・アッローリの『ホロフェルネスの首を持つユディト』。首を掻き切った凄絶さはあんまり感じられませんが、こーゆー強気な表情は個人的にすごくツボ!…でも絵ハガキありません (・ω・。`)そうさ!どうせ私が欲しい絵ハガキはないジンクスさ!…くぅぅっ。

で、一周した感想といえば「………目に痛いよぅ……… (ノω;`)」

その前にハシゴで『巨匠たちの英国水彩画展』に寄っていたので、水彩化した目には油絵が一際強力にどどーんと押してきましてですね…(金ピカ度も高いし(^_^;))。油絵ってこんなにも濃ゆいのか!!と、展覧会の内容にはあんまり関係ない感想が残ることになってしまいました。うう~む、しまったなりΣ(TωT;) 。
展覧会のハシゴをする際には食べ合わせにご注意を(笑)!あ、水彩画展は素晴らしかったですよー♡

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上野の西洋美術館で開催中の『ベルリン国立美術館展 ~学べるヨーロッパ美術の400年~』(2012年6月13日~9月17日)に行ってきました。



もちろんお目当てはフェルメールの『真珠の首飾りの少女』!
しかし…、最近のフェルメール人気を当て込んでるせいか…正直チケット高くないっすか…。「ううむ仕方ないフェルメールだし一点買いってことで」と諦めて行ったら…おお!?他の展示品も素晴らしいぢゃないですか!私的にはかなりクリーンヒットなラインナップでした!わーい♡

まず一番の心配は混雑状況だったんですが、まだ始まって間もない平日午前中だったせいか空いてました!この一点だけでも大変ありがたい。゚(゚´ω`゚)゚。お約束な入口付近の挨拶看板前の団子行列もありません。余裕で回遊魚出来ます。ほんとーに空いている美術展ほど嬉しいものはないです。

目的のフェルメールは期待通りの空気感。流石に安定のクオリティですね。感想もまあ「フェルメールからのラブレター」展とほぼ同じなのでここでは割愛。考えるな!感じろ!ってとこでしょうか(笑)

おススメしたいのはむしろ木彫展示の多さです。ヨーロッパ美術展で木彫展示ってあんまり見たことない気がするんですが…単に私の目がスルーしてただけ(((((((ι゚ω゚;)?
素朴な中にも精緻な細工の「聖クリスピニアヌス(1420年頃)」。俯いた美少年の趣ですが、その清潔な横顔に(きっと教会の奥で長年信仰されてきたんだろうなぁ…)と敬虔な気持ちになれます。
何点か聖ゲオルギウスの像が出ていて(なんか被ってるな~)と思ったんですが、そういえばこれはベルリン美術館展。傭兵産業(?)で繁盛していたドイツでは、軍人の守護聖人はやっぱり大人気だったんでしょうか。ちょっと歴史の空気を感じられた気がしました。歴史という点ではルターの肖像画も。「おお!教科書の!」って感じです。

けど、なにより一番のおススメはイグナーツ・エルハーフェンの「イノシシ狩り」「シカ狩り」(1690年頃)
一対の小さなツゲ板製の木彫作品です(一応これも浮き彫りって言うのかな?)。
サイズは大体DVDケースくらいでしょうか。そんな小さな板に狩猟風景が彫られているのですが…緻密すぎる!!猟犬の筋肉の感じとか、馬の尻尾の毛のきゅるるんとした巻き毛の感じとか…。正面からでは見えない部分まで精緻に彫り込まれてます。折れてしまったと思しき剣もありますが、剣の一本一本まで彫り出されているのも驚異です。ツゲという素材のせいもあるかも知れませんが、なんだか日本の根付を連想しました。日本のより更にエッジーな印象でしたが、刃物の国ドイツだからってことでしょうか。職人の技術もさることながら、堅い材木をこれだけ細かく彫ろうと思ったらそれだけの道具が必要ですし。同時に刃物製品の伝統と素晴らしさも見せつけられた気がしました。
で、この板。
用途が良く分からなかったんですが、領主が書斎の机に置いて、昔日の自分の雄姿をにまにま思い出したりしてたのかな~、とか想像しちゃいました。一種のフィギュア?と思ったんですがどうなんでしょ~?
 
そして例によって『一番欲しいポストカードは無いジンクス』が今回もまた(ノω・`o)
「聖クリスピニアヌス」と「鹿狩り」は欲しかったのになあ…。数点だけのためにカタログは買えましぇん。どうせ無いだろうと予測し、薄い記憶力で頑張って脳みそに焼き付けて帰りました。まあ、あの裏側まで手を抜かない完璧な職人技は写真では写しきれないでしょうし、是非実物をガン見することをおススメします!

東京都美術館のフェルメールも始まって、これから混むのかな~という危惧はありますが、私としてはこっちのベルリン美術館展の方がお買い得だと思いました。常設展ではドイツの小さな版画(これも切手サイズと細かい…拡大鏡完備してますが、敗退していく方も結構いました)も特集してるので、ドイツ好きっ子な方なら尚更おススメです。私は久しぶりに常設展でハンマースホイとまでご対面できたので、満腹な一日でした。
 
大入りが期待される割にはミュージアムグッズの種類が少ないような気がしましたが(クリアファイルとか眼鏡ふきとか、まあ定番な)フェルメール特別バージョンのシュタイフのテディベアは可愛かったです。あえてシュタイフってとこがベルリン展らしくていいですね。でもっ。可愛かったけど…シュタイフなんかとても手が出ないので (;´・ω・`)絵に描いて自己満足してみました。しくしく。
本物はもっとずっと可愛いので、カワイイモノ好きな方はお見落としなく♡
 

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渋谷bunkamuraザ・ミュージアムで開催の『フェルメールからのラブレター展』に行ってきました。



東京に来たフェルメールは大体制覇してますが、フェルメールといえば…開催するたびに着実に人が増えているような気が…(~_~;)。故宮展の敗北感も新鮮な中、内心びくびくしながら行ってみました。
がっ!さすがに平日午前中(いや故宮展だって平日午前中だったけど)!空いてるじゃないですかーーー!!
大抵なぜかお約束のように団子になってる入口付近すらとっても風通しがいいです。開催側としては嬉しくないでしょうけど、美術展はこれ位の人の入りが理想です。なんて静か!どこからでも好きな角度から好きなだけ見つめていられる…っ!私が行ったフェルメール展の中では奇蹟的と言っていいくらいの環境です。

で、お目当ては『手紙を読む青衣の女』と『手紙を書く女』。
フェルメールのテーマに合わせ、他の展示絵画も手紙にちなんだテーマのものを揃えています。市民生活の中にこれだけ手紙が浸透していた=識字率が高かったというのは、豊かさの表れなんでしょう。折しも当時のオランダは船舶交易でウハウハの時期。字が分からなければ生活が成り立たない商業都市だったんですね。
フェルメール、他の同時代の絵画と並べると光の表現の仕方がやっぱり違いますね~。まあ、ライティングも一際凝ってましたが(^_^;) 『手紙を読む青衣の女』は今回大掛かりな修復後初公開とのこと。黄変したワニスを慎重~に剥がして色を復元して…。なんと気の遠くなる作業。「あっΣ(゜o゜;)」とか失敗できないし。本当に頭が下がります。でもその点、油絵はまだ楽だよなあ。絹布に描いた絵じゃ、そういうわけにもいかないもんな~。
黄色の衣装で有名な『手紙を書く女』も、思わせぶりに表情をぼかした表現は印象的でした。でもこの黄色の服、袖口に毛皮のもふもふが付いている割になんで半袖なんだろー?寒いんだか暑いんだか…まるで女子アナのような薄着感(笑)。腕を出すのがセクシーとか、そんな流行でもあったんでしょうか。

ゆったり見られたのが何より嬉しかった展覧会でした。あえて言えばもうちょっと展示数が欲しかったかも。寡作のフェルメールを3点も出してきたのは出色ですが、それにしてもちょっと全体数が寂しいような…。それからミュージアムグッズの切手。80円切手10枚に大き目イラスト2枚のついたシートが2800円て、ちょっ… (◎o◎)!!郵便局では扱ってないレアグッズと煽ってましたが、う~ん。妥当なお値段だったら欲しかったけどな~。

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東京国立博物館で開催の『北京故宮博物院200選』に行ってきました。

後宮の少女

お目当ては目玉出品でもある『清明上河図』と常設のお正月企画展示。清明上河図は以前、橋の部分を模写したことがあったので、実寸が見たかったんです。この展覧会、かなり仰々しいコピーで宣伝していたので、きっと混むんだろうな~とは想像してました。でもお正月気分も落ち着いた平日午前中。楽勝さ~…と思いきや…。展示自体だけでお外で50分待ち!?更に清明上河図は単品で別枠210分待ち!?ええええ!?一時間待ち展覧会は何回か行ったことがあったけど…210分……。でも今年一番の寒さと言われる中、熟年な方々がじっと我慢の子…。清明上河図は早くも諦めましたが、一応先達に負けじと50分並んでみました。
展示物は予想以上に多く、見応えは充分でした。整理入場してただけあって、会場内もゆったり。だったらもうちょっと人入れてもいいんじゃないの?ってくらい。
私的一番は真珠の鱗の龍が刺繍された紺色の袍(衣装)です。牡丹の花びらは珊瑚のビーズ、きらきらした緑の輝きは孔雀の羽根…という豪華衣装!こういう質感は写真じゃちょっと分かりません。これだけで頑張って並んだ甲斐があったってもんです(そう思いたい…)。早々に断念した清明上河図も、仕切り越しにちょこっと見えたので実寸は分かりました。もーちょっと大きいのかなと思ってたのですが、大きくはないけど、長かった…(-_-;)
常設季節展示もいつもより国宝多めでお正月らしく華やかでした。本館中央階段付近に大きな生け花があってお正月気分が盛り上がります(生け花は15日までのようですが)。そして普段見たことない小部屋で現代根付コレクションが!か、かわいい~~~!!キュートな粒ぞろい根付の中でもリュックしょったペンギンの子が印象的でした。ていうか、ピンガっぽい(笑)
干し柿気分で寒風に耐えた行列でしたが、3時くらいに見たら外の列はなくなっていたので、時間に融通が効くなら午後に行くのがおススメだと思います。しっかし、今の時期でこの列なら、はにわストラップ配ってた二日はどんな混みようだったのか…。ぶるぶる。

載せたイラストは以前描いたものですが、後宮的なイメージだったし、故宮なら、ま、いっか~とアップしてみました。えへ。

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プロフィール
HN:
広枝出海
性別:
非公開
趣味:
現在絶賛HURTSにはまり中( *´ω`)
こんな漫画描いてます
ブクログにショートショート漫画置いてます(古いけど(^_^;))いちおー、耽美ホラー(…のつもり)良かったら御笑覧下さいませ
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