やさぐれ漫画描き、広枝出海のブログです。 創作同人情報、美術展やら映画感想など 獺祭状態でつらつら書きたいな~、と。 カワウソは取った魚を祭るように陳列するそうですが、散らかしているだけとは言ってはいけないお約束(^_^;) 無断転載はどうぞご遠慮下さいませ<(_ _)>
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『HHhH ~プラハ、1942年~ 』面白かった(〃゚ω゚〃)!
『HHhH ~プラハ、1942年~』
(著/ローラン・ビネ、訳/高橋啓 東京創元社 2013.6.28初版)を読みました。
しかし、のっけからタイトルが意味不明。
ていうかそもそも読み方すら謎な本です(笑)
そのための副題…というわけで、プラハで1942年といえば!
ナチもの好きっ子ならピンとくる(そしてナチもの好きしかピンとこないw)ナチ高官の中でも悪名高い、SSのナンバー2で当時のチェコ代理総督「金髪の野獣」ラインハルト・ハイドリヒの暗殺事件がテーマの本です。
「Himmlers Hirn hei ßt Heydrich(ヒムラーの頭脳はハイドリヒと呼ばれる)」
という意味なんだとか。なるほど~。
…けどドイツ語が分かんないと分かりませんがな(。-ω-)w
作者はフランス人なので、読み方はフランス風でもドイツ風でも、「エイチエイチエイチエイチ」(数合ってる!?)でもいいんだそうです。
ツウ(?)にしか分からない、結構突き放した感じのタイトル…。嫌いじゃないけど(笑)むしろ「ナチ物だからとりあえずヒトラーって入れちゃえ」的な、安直な映画の邦題を考えれば全然好きだけど(≧ω≦o)!
装丁もオシャレです。
この手の本なら鍵十字は必須なイメージですが、そこをあえての回避か、ただ文字だけ。この硬質な感じがドイツっぽい。なんかバウハウスっぽい。(…と思ってたらフォントの鬼の友人が「これはフーツラ書体では」と教えてくれました。ラテン語で『未来』という意味だとかで、ナチスの公用書体に選ばれて以降、欧米では禁忌となった書体。…という、なぜか日本限定の都市伝説がある、いわくつきの書体だそうな。海外のブランドロゴにも使われているのでこの話は完全にガセのようですが、その辺の因縁も込めてのこの書体なんでしょうか。ちなみに考案した人はほんとにバウハウスの人でした。…と、ここまで書いておいてなんですが…小文字はちょっと違う気がする…(((((((ι゚ω゚;)大雑把な人間なのでフォントの細かい違いが分かりませぬ…違ってたらごめんなさい。あわわ)こーゆーの好きだな~。ナチ色三色の赤は帯にぎゅっと任せちゃってるのもいい感じです。
で、本の中身。
主役はハイドリヒとその暗殺者二人、そしてチェコに在住してハイドリヒ暗殺事件に興味を抱いた著者、フランス人のビネさんです。
この著者が暗殺事件を主題とした小説を描こうとする、その推敲の過程までが物語の要素という…Σ( ゚ω゚) !こーゆー構成の小説って私は初めて読みました。
そしてその苦悩の推敲っぷりがまた面白い!「得た知識を披露したい病(でもそれがうっとうしいのも知ってるもん病)」とか。わかる~(笑)
蛇足ですが。
話の冒頭で資料としてビネさんが見たと挙げていた映画の8割くらいは私も見ていて、思わず笑ってしまった…どんだけ好きなんだ自分…。(特に『謀議』という、ヴァンゼー会議の1日を描いたテレビ映画。面白い…というよりはヴァンゼー会議を知りたい人への参考書っぽい、地味な作品でしたが、これに出てくるハイドリヒが…金髪イケメンなのはいいけど背が高くない…(・´ω`・)ハイドリヒは背が高くなきゃあかーんっ!と、ひたすらその1点が印象的な作品でしたwコラ)
偏執的なまでに「フィクション嘘っ子は絶対入れたくないんだ!」という姿勢は頭が下がる…というより、もはやそこまで徹底せんでもいいんじゃ…と言いたくなるようなレベルです。暗殺事件当日のハイドリヒの車が緑色だったかもなんて、考えたこともなかったです(この辺の真相は分からずじまいでしたが)。
作者がフランス人なせいか、パリの冬季自転車競技場にユダヤ人が押し込められた件に結構ページが割かれていたのも興味深かったです。この事件は映画『黄色い星の子供たち』で詳しく描かれていますが(競技場に13000人のユダヤ人が収容される画が圧巻!)この一件にハイドリヒが深く関わっていたとは初めて知りました。フランス人にとってはハイドリヒが暗殺されて本当に良かったんでしょうね…。
悪の華…じゃないけど、ハイドリヒはドラマの題材としてすごくおもしろい人物だと個人的に思ってるので(やらかした罪の大きさを考えれば不謹慎かもですが、昼ドラに出てくる悪役みたいなんだもん)この本の読み応えは半端無かったです(〃゚ω゚〃)。
村一つ消された話は知っていたものの、暗殺実行犯がここまで逃走、銃撃戦を繰り広げていたというのも驚きでした。そしてイギリスが渡していた装備のお粗末さにもびっくり。事実は小説より奇なり、って事でしょうか。
…けど、ハイドリヒのエピソードで私が一番強く覚えている「ヴァンゼー会議が終了した夜、ハイドリヒがテーブルの上でダンスした」話が…無いΣ( ゚ω゚)
何の本で読んだか覚えてないけど、これ、かなり象徴的なエピソードだと思うんだけど…。もしかしてガセですか!?この著者なら割愛はしないと思うんだけど、都市伝説だったんだろうか…(ノω;`)
で、実は何よりもずーーーっと秘かに抱いてきた疑問をビネさんが解決してくれたのがすごく嬉しかったです。
そう。「ハイドリヒはイケメンじゃない」件w!
大抵どの本も「ハイドリヒは長身金髪の美男子だった」と説明してて、写真を見ながら私はずっともにょもにょしていたわけです。「…そうか。きっとヨーロッパ基準ではこーゆーのをイケメンだと思うんだ…そうなんだ…。」と。でもビネさんははっきり「馬面」と言いきってます!
ありがとう、ビネさん!お陰で自分の美意識がすっきりしましたw!!
フランス人が言うんだから間違いあるまい!
ついでにビネさんはヒムラーも「ハムスター」と言いきってます(゚ω゚)うわぁ…分かるぅ~wwそう、何かを思い出させるような気はしてたんだけど、ハムスターでしたか(しかしハムスターに失礼なような…)
とはいえ、基本姿勢はいたってごく真面目な本です(当たり前…)
原文がいいのか訳文がいいのか分かりませんが読みやすくもありますので、この時代に興味のある方は是非♪おススメです。
(著/ローラン・ビネ、訳/高橋啓 東京創元社 2013.6.28初版)を読みました。
しかし、のっけからタイトルが意味不明。
ていうかそもそも読み方すら謎な本です(笑)
そのための副題…というわけで、プラハで1942年といえば!
ナチもの好きっ子ならピンとくる(そしてナチもの好きしかピンとこないw)ナチ高官の中でも悪名高い、SSのナンバー2で当時のチェコ代理総督「金髪の野獣」ラインハルト・ハイドリヒの暗殺事件がテーマの本です。
「Himmlers Hirn hei ßt Heydrich(ヒムラーの頭脳はハイドリヒと呼ばれる)」
という意味なんだとか。なるほど~。
…けどドイツ語が分かんないと分かりませんがな(。-ω-)w
作者はフランス人なので、読み方はフランス風でもドイツ風でも、「エイチエイチエイチエイチ」(数合ってる!?)でもいいんだそうです。
ツウ(?)にしか分からない、結構突き放した感じのタイトル…。嫌いじゃないけど(笑)むしろ「ナチ物だからとりあえずヒトラーって入れちゃえ」的な、安直な映画の邦題を考えれば全然好きだけど(≧ω≦o)!
装丁もオシャレです。
この手の本なら鍵十字は必須なイメージですが、そこをあえての回避か、ただ文字だけ。この硬質な感じがドイツっぽい。なんかバウハウスっぽい。(…と思ってたらフォントの鬼の友人が「これはフーツラ書体では」と教えてくれました。ラテン語で『未来』という意味だとかで、ナチスの公用書体に選ばれて以降、欧米では禁忌となった書体。…という、なぜか日本限定の都市伝説がある、いわくつきの書体だそうな。海外のブランドロゴにも使われているのでこの話は完全にガセのようですが、その辺の因縁も込めてのこの書体なんでしょうか。ちなみに考案した人はほんとにバウハウスの人でした。…と、ここまで書いておいてなんですが…小文字はちょっと違う気がする…(((((((ι゚ω゚;)大雑把な人間なのでフォントの細かい違いが分かりませぬ…違ってたらごめんなさい。あわわ)こーゆーの好きだな~。ナチ色三色の赤は帯にぎゅっと任せちゃってるのもいい感じです。
で、本の中身。
主役はハイドリヒとその暗殺者二人、そしてチェコに在住してハイドリヒ暗殺事件に興味を抱いた著者、フランス人のビネさんです。
この著者が暗殺事件を主題とした小説を描こうとする、その推敲の過程までが物語の要素という…Σ( ゚ω゚) !こーゆー構成の小説って私は初めて読みました。
そしてその苦悩の推敲っぷりがまた面白い!「得た知識を披露したい病(でもそれがうっとうしいのも知ってるもん病)」とか。わかる~(笑)
蛇足ですが。
話の冒頭で資料としてビネさんが見たと挙げていた映画の8割くらいは私も見ていて、思わず笑ってしまった…どんだけ好きなんだ自分…。(特に『謀議』という、ヴァンゼー会議の1日を描いたテレビ映画。面白い…というよりはヴァンゼー会議を知りたい人への参考書っぽい、地味な作品でしたが、これに出てくるハイドリヒが…金髪イケメンなのはいいけど背が高くない…(・´ω`・)ハイドリヒは背が高くなきゃあかーんっ!と、ひたすらその1点が印象的な作品でしたwコラ)
偏執的なまでに「フィクション嘘っ子は絶対入れたくないんだ!」という姿勢は頭が下がる…というより、もはやそこまで徹底せんでもいいんじゃ…と言いたくなるようなレベルです。暗殺事件当日のハイドリヒの車が緑色だったかもなんて、考えたこともなかったです(この辺の真相は分からずじまいでしたが)。
作者がフランス人なせいか、パリの冬季自転車競技場にユダヤ人が押し込められた件に結構ページが割かれていたのも興味深かったです。この事件は映画『黄色い星の子供たち』で詳しく描かれていますが(競技場に13000人のユダヤ人が収容される画が圧巻!)この一件にハイドリヒが深く関わっていたとは初めて知りました。フランス人にとってはハイドリヒが暗殺されて本当に良かったんでしょうね…。
悪の華…じゃないけど、ハイドリヒはドラマの題材としてすごくおもしろい人物だと個人的に思ってるので(やらかした罪の大きさを考えれば不謹慎かもですが、昼ドラに出てくる悪役みたいなんだもん)この本の読み応えは半端無かったです(〃゚ω゚〃)。
村一つ消された話は知っていたものの、暗殺実行犯がここまで逃走、銃撃戦を繰り広げていたというのも驚きでした。そしてイギリスが渡していた装備のお粗末さにもびっくり。事実は小説より奇なり、って事でしょうか。
…けど、ハイドリヒのエピソードで私が一番強く覚えている「ヴァンゼー会議が終了した夜、ハイドリヒがテーブルの上でダンスした」話が…無いΣ( ゚ω゚)
何の本で読んだか覚えてないけど、これ、かなり象徴的なエピソードだと思うんだけど…。もしかしてガセですか!?この著者なら割愛はしないと思うんだけど、都市伝説だったんだろうか…(ノω;`)
で、実は何よりもずーーーっと秘かに抱いてきた疑問をビネさんが解決してくれたのがすごく嬉しかったです。
そう。「ハイドリヒはイケメンじゃない」件w!
大抵どの本も「ハイドリヒは長身金髪の美男子だった」と説明してて、写真を見ながら私はずっともにょもにょしていたわけです。「…そうか。きっとヨーロッパ基準ではこーゆーのをイケメンだと思うんだ…そうなんだ…。」と。でもビネさんははっきり「馬面」と言いきってます!
ありがとう、ビネさん!お陰で自分の美意識がすっきりしましたw!!
フランス人が言うんだから間違いあるまい!
ついでにビネさんはヒムラーも「ハムスター」と言いきってます(゚ω゚)うわぁ…分かるぅ~wwそう、何かを思い出させるような気はしてたんだけど、ハムスターでしたか(しかしハムスターに失礼なような…)
とはいえ、基本姿勢はいたってごく真面目な本です(当たり前…)
原文がいいのか訳文がいいのか分かりませんが読みやすくもありますので、この時代に興味のある方は是非♪おススメです。
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